『キクタン』は台湾華語独学にも十分対応できる。でも注意が必要。

2022/05/08

単語

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こんにちは。台湾在住20年以上の大喬(ダーチャオ)です。

皆さんは中国語の単語を勉強する時にはどんな単語帳を使っていますか。

日本には中検やHSK対策用の単語帳など、たくさんの種類の単語帳が発売されていますが、どれも中国で話される普通話がベースとなっていますので、当然のことながら簡体字で書かれています。

最近では台湾華語ブームということもあり、旅行や日常会話などの簡単な台湾華語の単語本も増えてきましたが、やはり本格的に台湾華語の単語を勉強できる専用の本はまだなさそうです。

私が台湾で長年愛用している単語帳「キクタン中国語」は、基本的には他の単語帳と同じく簡体字が使われていますが、単語の横に繁体字の表記もあります。

ですから、台湾で学習をしている方、台湾の中国語を勉強したい人にも使いやすくなっています。

今回の記事では、私が愛用しているキクタン中国語の中身、そしてキクタン中国語を使用するにあたって注意したい点についてお話ししますので、ぜひ単語帳選びの参考にしてみてください。

キクタン中国語

キクタン中国語シリーズには以下のレベルがあります。

  • 【入門編】中検準4級レベル
  • 【初級編】中検4級レベル
  • 【初中級編】中検準3級レベル
  • 【中級編】中検2級レベル
  • 【上級編】中検準1級レベル

それから

  • 【会話入門編】
  • 【慣用句編】中級レベル
  • 【キクタントラベル】

以上の8冊があります。

この中で私が持っているのは
【中級編】【上級編】です。

HSKでいえば5と6、TOCFLならバンドBとCに当たります。

キクタン【中級編】と【上級編】


繁体字 単語帳 中身

上の写真は【中級編】のキクタンです。


左ページは単語と日本語訳、右ページにはその例文が載っています。
そしてピンインと日本語訳は、赤シートで消えるように赤で書かれています。

中級編の例文にはピンインが載っていますが、上級編の例文にはピンインは載っていません。上級ならピンインがなくても読めて当然、ということでしょうか。

下の部分は中級も上級も共通の仕様で、前のページで学習した単語のチェックリストが載っていて、復習しながら学習を進めることができるようになっています。


この単語帳の一番気に入っているところは、単語の上に小さく書かれた繁体字。他の単語帳にはみられない、とてもありがたい仕様です。



上の写真は「キクタン中国語」の中級編ですが、本の説明によると

「外国人に対する中国語教育のために制定されたHSKの語彙を基礎データに、過去の中検で使用された語彙を調査し精選された単語と、2級を受験するレベルの人なら抑えておきたい成語」の1008語を収録しています。

検定試験のための単語帳ではありますが、実際に日常で使われる単語ばかりなので、検定試験を受ける予定のない人にもキクタンシリーズはおすすめです。


注意すべき点

◎声音が異なる語がある

<例① 台湾華語には軽音がほとんどない>

例えば以下のような単語は、中国では2文字目を軽音として軽く弱く発音しますが、台湾では2文字目の音もしっかりと発音します。

・护士「hù shi」
   → 護士「hù  shì

・打击「dǎ ji」
   → 打擊「dǎ  jí

・乡下「xiāng xia」
   →  鄉下「xiāng

・东西「dōng xi」
 → 東西「dōng xī」

台湾華語には基本的に語尾の軽音はないものと考えてもらっていいでしょう。

<例② 普通話と声調が異なる>
それから、表記は同じなのに中国と台湾で声調が異なるものもあります。

某中国語ネイティブが中国語の上手な日本人の中国語レベルをチェックするという内容のYouTube動画の中で、ディーン・フジオカさんがホラー映画の「恐怖片」の「片」を4声で発音したのですが、それは中国語では間違いなんだそうです。

台湾では4声が正しいんですが、中国では1声が正しいと言っていました。

・恐怖片「kǒng bù piān」(中国)
  → 恐怖片「kǒng bù piàn」(台湾)

・品質「pǐn zhì」(中国)
  → 品質「pǐn zhí」(台湾)

◎発音そのものが異なる

中級の単語帳に出てくる「垃圾」(ゴミ)という単語は、中国では「la ji」と発音しますが、台湾では「lè sè」となります。

漢字表記は同じなのに、発音は全然違いますよね。

「la ji」と言っても通じますが、台湾の辞書ではやはり「lè sè」と表記されていますし、小学校の国語の試験でも「lè sè」が正解です。
(もちろん台湾の小学校ではピンインではなく注音で「ㄌㄜˋ ㄙㄜˋ」)

それから、「角色」(役割)という単語は、中国では「júe sè」ですが、台湾では「jiǎo sè」です。

でもこれには続きがあって、数年前の教育部の改訂により、「角色」の発音が中国と同じ「júe sè」に変更になりました。

でも長年「jiǎo sè」と発音してきた人々が、いくら新しい発音に変更になったからといって、慣れ親しんだ語からわざわざ新しい発音に変えるようなことはなかなかありませんよね。

そもそも変更になったことすら知らない人もたくさんいます。

小学校や中学校の試験の時には「júe sè」と書かなければ正解にはなりませんが、今でも多くの方が相変わらず「jiǎo sè」と発音しています。

最近見たニュース番組でもキャスターさんは「jiǎo sè」と発音していましたし。

このように、中国で使われる中国語と台湾で使われる中国語の間には差異がある場合があるので、できれば単語帳を台湾の方にチェックしてもらうのが一番いいと思います。

それが難しいなら、台湾の辞書アプリで調べるといいでしょう。

私がよく使っている「萌典」というアプリなら無料ですし、ピンインと英語訳があるので使いやすいかと思います。

アプリについては、別記事で紹介しています。


追記

中国で使われる中国語(普通話の簡体字)と、台湾で使われる中国語(台湾華語の繁体字)が違っている場合の単語リストを作成しました。もしかしたらミスもあるかもしれませんので、あくまで参考程度の利用でよろしくお願いします。

PDFにて公開します。再配布はご遠慮ください。

 

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大喬(ダーチャオ)です。 台湾に来て20年。台湾人の夫、娘と3人で暮らしています。

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