中国語を習得するのにどのくらいの時間が必要なのでしょうか。
結論から申しますと、「習得」というゴールをどのレベルに持ってくるかにもよると思いますが、中上級レベルの中国語なら1000時間の学習時間が必要です。
・HSK/6級
・中検/準1級
・TOCFL/B2(高階級)
*おおよその目安です
中上級レベルの習得には1000時間必要
これは、Malcolm Gladwell氏が "OUTLIERS" という本の中で述べているもので、俗に「1000時間の法則」と呼ばれています。
- 中上級レベル(セミプロ)になるには1000時間の訓練が必要
- 上級者レベル(プロ、専門家)になるには10000時間の訓練が必要
という法則が成立するというものです。
では中国語学習において「中上級」とはどのくらいのレベルなのでしょうか。1000時間の学習で「中上級」のレベルに達することはできるのでしょうか。
中上級と言われているレベル
- HSK/6級
- 中検/準1級
- TOCFL/B2(高階級)
これらの試験の公式サイトを参考に、TOCFLを基準としての学習時間の目安をまとめて次のような表を作ってみました。(あくまでおおよその目安です)
画像をクリックすると大きくなります。
- 「専門に関する技術的討論などを含む、標準語で話された一定の長さのある対話でも、内容の抽象いかんにかかわらず、ポイントの大意を理解することができる」
- 「さまざまな目的で書かれた文書を、自身の持っている知識の範囲で推測しながら読解を行うことができる」
HSK6級では
「中国語の音声情報や文字情報を不自由なく理解することができ、自分の意見や見解を流暢な中国語で口頭または書面にて表現することができる」ことが求められています。(公式サイトより)
それから日本人を対象とした中検の準1級の認定基準を
「社会生活に必要な中国語を基本的に習得し、通常の文章の中国語訳・日本語訳・簡単な通訳ができること」としています。
つまり、1000時間の学習で習得できるとされる中上級レベルでは、日常生活において不自由なく意思疎通ができ、簡単な中国語であれば通訳もできるということです。
ですから中国語の勉強を始めるときには、まず1000時間を目標にしてみましょう。
1000時間をどうやって勉強するか
1000時間勉強すれば中上級レベルの中国語を習得できそうだということはわかりました。
ここで1000時間という数字について考えてみたいと思います。
台湾の語学学校の場合
例えば、台湾の語学学校で中国語を勉強する場合、たいていの学校では1週間に15時間の授業があります。
それが1学期3ヶ月(12週)あったとして、15時間 ×12週間で180時間。1年で48週間授業を受けたとすると720時間勉強したことになります。
これはTOCFLの中上級のレベルの学習時間に当てはまります。
授業だけでなく、放課後に自分で勉強したりすると学習時間はもっと増えるわけですが、ざっくりと考えて1年間台湾の語学学校で勉強すれば中上級の中国語が習得できると言えるでしょう。
では台湾またはその他の中華圏に留学しないで自分で勉強する場合について考えてみましょう。
独学の場合
まず何年かけて中上級のレベルになりたいのかを考えてみましょう。
1年での習得を目指す場合
単純に365日で割ると
1000(時間)÷ 365(日)=2.74(時間)
1日に3時間勉強すれば1年で習得できる計算になります。ただしこれは土日や正月休みなどを全く考慮せずに、365日毎日勉強することを前提に計算した場合です。
1日ではなく1週間で計算すると
1000(時間)÷ 52(週)=19.2(時間)
1週間に19時間とちょっと勉強すれば達成できます。1週間に5日勉強するなら1日に4時間の学習が必要ですね。
しかし1日に4時間も中国語の勉強だけに費やせる人はなかなかいないと思います。仕事をしながら、または学校に通いながらだと1日に4時間というはかなり難しいのではないでしょうか。
2年での習得を目指す場合
2年で中上級レベルの中国語を習得することを目標に計算すると
1000(時間)÷ 730(日)=1.32(時間)
1日に1時間とちょっと。かなり現実的な数字になりました。
1週間単位で計算してみますと
1000(時間)÷ 104(週)=9.6(時間)
1週間に10時間くらい勉強時間が取れればクリアできそうです。
1日3時間 ×365日
1日4時間 × 週5日
・2年間で1000時間
1日85分 × 730日
1日2時間 × 週5日
1000時間で何を勉強するのか
1年で1000時間をクリアする場合は1週間に20時間、2年でクリアする場合は1週間に10時間くらいの学習時間が必要だということが分かりました。
では具体的にどんな勉強をすればいいのでしょうか。
語学の勉強は高校や大学受験の勉強ではないので、テキストだけを1日に4時間勉強しても総合的な力は身につきません。強いていえば読解力と語彙力は上がると思いますが、中国語を話したり聞いたりという力は残念ながらつきません。
中国語は発音から
中国語に限らず、語学の勉強にはまず発音から学ぶ必要があります。
日本における英語教育では、まず文字から入り、次は単語、そして文法。発音は単語単位でしか勉強しないので、単語や文が書けるようになっても上手に発音できないという残念な現象が起きています。これでは何年勉強しても話せるようにはなりません。
中国語はとても発音が難しい言語です。日本語のように多少イントネーションが違っても通じるということはありません。(日本語は文法や文字表記は難しいですが発音自体は簡単です)
中国語をこれから始める人は、まず発音の練習に時間を取りましょう。
発音だけは独学よりも中国語の先生に習ったほうが確実に上達します。中国語教室に通ったり、中国からの留学生に家庭教師をお願いしたり、またはオンラインレッスンでもいいと思います。
どうしても独学で勉強したいという人は、YouTubeで発音を教えているチャンネルを探してみてください。個人的な意見ですが、台湾華語に興味がある人でも、発音は中国の人から習った方がいいと思います。
私がおすすめする動画はこちら
文法書で勉強する
中国語を勉強するときに必要となるのがテキストですが、総合的に効率良く勉強できるのは現地の言語学校で使用されているテキストだと思います。
例えば台湾では『實用視聽華語』『當代中文課程』『時代華語』といった語学留学生が使用するテキストがおすすめです。
それぞれに音声データがついているので、文法や語彙を学びながらリスニングやシャドーイングの練習もできます。
これらのテキストは世界各国から集まった留学生が使うものなので、説明の箇所は英語です。英語に自信がないという人は、日本で販売されている文法書と併用すると良いと思います。
日本国内でテキストを探すならNHKの中国語講座もいいと思います。テキストは本屋で簡単に手に入りますし、説明が日本語なので中国語初心者でも安心です。
台湾華語学習者にとっては簡体字のテキストは使いづらいところがありますが、文法自体はほぼ同じなので、中国語の基礎だけは簡体字のテキストで妥協してもいいかもしれません。
ラジオやテレビ番組でリスニング
通学時間や通勤時間、家事の合間にラジオなどで中国語を聞くのもかなり有効です。ここでの「聞く」というのは聞き流しではありません。意識して「聞き取る」イメージで聞きます。
聞き流しも悪くないのですが、勉強時間には含めるべきではないと思います。意識して聞いているなら勉強時間として加えておきましょう。
リスニングには無料できけるポッドキャストがおすすめです。
中国語の雑誌を読む
リアルタイムで中国事情が学べる月刊雑誌は中国語学習にとても有効です。
私は以前『ENGLISH Journal』という雑誌を年間購読し、1年で1000時間のリスニングを目指し勉強しました。雑誌に収録されていたハリウッドスターのインタビューやBBCニュースを繰り返し聞き、最終的にはTOEICで満点近い点数を取れるようになりました。
昔は『中国語ジャーナル』という雑誌もあったのですが、今は休刊のようですね。でも似たような雑誌に『聴く中国語』という雑誌があります。
リスニングだけで1000時間を目指すのはかなり大変ですが、雑誌を読んだり音声を聞いたりする時間も勉強時間に数えればできそうな気がしますね。
もちろん楽しんで読むだけ(多読)の時間と、勉強しながらきちんと読む(精読)時間の両方が必要です。意識してバランスよく学習しましょう。
学習時間を記録してモチベーションアップ
1000時間を目標にしたら、1日の学習時間をきちんと記録しておきましょう。私は手帳に記録して月の終わりに1ヶ月の学習時間を計算しています。
もちろん勉強時間よりも質の方が大事ですが、それでも時間を記録することによって勉強にああてた時間を数字で確認できるとモチベーションがアップします。
記録をするときには何の勉強にどのくらいの時間を使ったのかまで記録しておくと、自分がバランスよく勉強できているのかどうかを確認できるのでおすすめです。
色を使い分けて棒グラフにしてみるのも見える化できていいですね。
ノートや手帳に記録する習慣がない人は、スマホで簡単に勉強時間が記録できるアプリもあるので、まずは1000時間を目標に頑張ってみましょう。
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