こんにちは。大喬(ダーチャオ)です。
私は台湾生活20年の間、いろいろなテキストを使って台湾華語を勉強してきました。
メインとして使ってきたのは、台湾または海外で台湾華語を勉強する人たちに向けてに作られたテキスト、『實用視聽華語』、『當代中文課程』、『時代華語』ですが、補助教材として使ってきたのが『國小學習自修』と呼ばれる本です。
通称『自修』と呼ばれるこの本は、台湾の子供たちが小学校の教科書の参考書として家庭学習において使うものです。
今回の記事では、私が補助教材として勧める小学生用の『自修』についてまとめてみましたので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
『國小學習自修』とは
『學習自修』というのは日本でいう教科書ガイドのようなものです。小学生用と中学生用がありますが、ここでは小学生用を紹介します。
小学生用の『自修』ですが、教科書内の全ての本文や資料がそのまま丸ごと載っているだけではなく、国語であれば単語の説明や読解問題、数学であれば教科書内の問題の解答と解説なども載っており、この本があれば教科書が必要ないくらいよくできた本です。
小学校の主要4教科の自修のうち、台湾華語学習者にお勧めするのは、国語と社会です。教材として使用するなら、どちらも4年生以上のものがいいと思います。出版社によって内容は多少異なりますが、レベルは変わらないのでお好みで選んでいただければと思います。
私の場合は、娘が学校で「康軒版」の教科書を使っていたため、自修も同じ出版社のものを使用しています。
國語の自修
國語の自修(康軒版)の各課の構成はこのようになっています。
- 課文總覽
- 字的學習
- 詞的學習
- 句的學習
- 閱讀精品屋
- 寫作加油站
- 能力掃描
ではそれぞれ詳しくみていきます。
1.課文總覽(本文概要)
それぞれの課にはまず「課文總覽」があります。
具体的には、- 文体(叙述文、記録文、説明文など)
- 文章の大意、文章の構造
- 学習目的
- 焦点
- 文章と段落ごとの要約文
この中でも、私たち台湾華語学習者が力を入れて読みたいのは、自修のメインとなる文章と段落ごとの要点が書かれた「課文與段意」のパートです。
このパートは教科書の文章がそのまま注音付きで載っており、教科書を持っていなくても自修だけで文章を勉強することができます。
ピンインはありませんのでご注意ください。
また段落ごとに1文の要約分がつけられているので、自分で書いてみた要約文と照らし合わせてみるのもいい練習かと思います。
2.字的學習(新しい漢字)
次はこの課で学習する漢字です。
台湾の小学校で6年間に学習する漢字は約3000字です。もちろん小学1年生と6年生の間には学習する漢字の数の差がありますが、4年生以上だと年間に約500字の漢字を学習します。
台湾の國語の教科書は上と下に分かれていて、自修もまた教科書と同じように上と下があります。小学校5年生の上の自修を見ると、上では14つの課が収録されています。つまり1つの課で約20字の漢字を学習すると言えます。
- 生子(新しい漢字)
- 部首
- 部首筆畫(部首画数)
- 總畫筆(総画数)
- 解釋/造詞/成語(解説/熟語/四字熟語)
例えば6年生の上、第3課の「捏」という字では、このような説明があります。
部首/手(4)
總畫筆(10)
①[動]用拇指與其餘手指夾住。
例・捏鼻子,捏緊線頭
②[動]用手指將軟東西搓捻成莫種形狀。
例・捏麵人,捏餃子
③[動]虛構,牽強附會。
例・捏造
個人的には部首や画数などは台湾華語学習者にとってはそれほど気にしなくてもいいと思いますが、解説/熟語/四字熟語は大変役に立つパートです。
解説や熟語には注音が付いていないので自分で調べる必要がありますが、自修に載っている熟語は子供でも知っている、または知っていなくてはいけない基本的なものなので、私たち学習者もぜひ覚えておいた方がいいでしょう。
約20字の新しい漢字リストの続きには間違えやすい漢字もまとめられています。
例えば「距」という字を新しく勉強したときには
- 距(jù)…距離,差距
- 拒(jù)…拒絕,抗拒
- 鉅(jù)…鉅富,艱鉅
- 矩(jǔ)…矩形,規矩
3.詞的學習(語彙の学習)
このパートでは、新しい漢字以外にも知っておきたい語彙や、文章に出てきた馴染みのない固有名詞などを学習します。
語彙の表には
- 詞語(語彙)
- 解釋(解説)
- 造句(例文)
- 詞語…外銷(wài xiao)
- 解釋…貨物由本國向外國銷售的交易。
- 造句…依照計畫,這些產品預計要外銷到中南美洲。
というように、語彙の読み方から解説、例文まで載っているので、とても学習しやすくなっています。ただしこれも詞語以外には注音が載っていませんので、読み方がわからない場合は自分で調べる必要があります。
4.句的學習(句型の学習)
このパートでは、決まった型の表現方法や句型を学習します。
「全心全意的投入這場飛行試驗」
(〇〇〇〇的+動詞+目的語)
と同じ表現方法の文を比較します。
一心一意的跑完這場親子路跑
有始有終的寫完這篇研究報告
次の句型練習では、私たち学習者が中国語のテキストで学習するような文型を練習します。
例えば
- 雖然・・・卻・・・
- 不但・・・反而・・・
- 既然・・・就・・・
これは5年生の教科書の文型ですが、台湾華語学習者の中級とだいたい同じですね。
5.閱讀精品屋(読解問題)
ここパートは読解問題として短い文章とそれについての選択問題があります。
教科書の文章とは直接は関係のない文章ですが、似たようなタイプの短い文章を通して読解力を試します。
ここは単語リストなどは何もなく、シンプルな読解練習です。問題も4問だけなので、そこまで難しくありません。台湾華語学習者にとってもいい練習になるのではないでしょうか。
6.寫作加油站(作文練習)
ここは作文を練習するパートです。
台湾の高校入試では國文とは別に作文の試験があります。ですから小学校のうちから作文練習をしておく必要があります。
このパートには、作文テーマ、書き方、要点、模範例が載っていますので、語学学校や大学で作文、エッセイ等のの課題をこなす必要のある方は参考になるかもしれません。
ちなみに私はこのパートはスルーしています。
7.能力掃描(力だめし)
いよいよ課の総まとめです。
このパートでは今まで学習した漢字や文型、文章内容がきちんと把握できているかを確認できます。
独学だと先生がいないので学習してきたことをテストできる機会がないのですが、自修のテストを使えば1人でも学習進度の確認が可能です。インプットしてきたことをこのパートでアウトプットすることで力がつくと思います。
社会の自修
小学校の社会は、地理、歴史、公民をまとめて「社会」として学習します。
社会の自修を台湾華語の学習教材としておすすめする理由は、この本を読むことで中国語の勉強をしながら、台湾の歴史や地理、法律や政治の知識を深めることができるからです。
台湾に住んでいると、やはり地理や政治の知識が必要になってくることがあると思います。それらの基礎知識があるのとないのとでは、ニュースの理解力がまるで違ってきます。
地理や政治のことを本格的に勉強するのは大変ですが、小学生用の自修なら、どの分野も小学生がわかりやすいように書かれていますし、掲載されている資料も豊富です。
各課には確認テストもありますので、理解力を試すこともできます。
社会(というより國語以外の教科)の自修には注音がついていません。ですから読めない字は自分で調べる必要があり、これもまたいい勉強になります。
台湾華語と台湾のことが同時に学べるのは一石二鳥ですね!
自修はどこで買える?
『自修』は台湾の書店で購入できます。値段は教科やページ数にもよりますが、一冊400元から500元くらいです。
台湾以外の場所にお住まいの場合は、台湾のオンラインショッピングサイト「博客來」を利用するといいと思います。「博客來」はいわゆるAmazonのような会社で、書籍を中心に日用品、食品なども販売しています。
商品によって海外発送可能なものと不可能なものがありますが、自修については海外発送可能なようです。香港、マカオ、シンガポール、マレーシア、フィリピンにお住まいの方は、なんとセブンイレブンでも受け取りが可能です。
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