中国語習得のためのロードマップを示してくれる本『HSK・中国語検定 最強の学習本』

2024/01/09

中国語総合

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「中国語を勉強したいんだけど、何をどうやっていいのかわからない。」

そんな方に読んでほしいのが、この『HSK・中国語検定 最強の学習方』です。

タイトルには「HSK・中国語検定」とありますが、検定に合格したいがために中国語を勉強しているわけではないという方にもぜひ手に取ってほしい本です。

実際に私は検定を受験する予定はありませんが、この本から中国語の学習法に参考になりそうな情報もありましたので、読んでみてよかったなと思っています。

*ポイント
<この本をおすすめする人>
・中国語をこれから始めてみたい
・検定に合格するための道しるべが欲しい
・中国語上達のためのロードマップが知りたい

<この本をおすすめしない人>
・自分のやるべきことがわかっている
・すでにHSK6級または中検準1級に合格している
・すでにペラペラである

この本は、これから中国語を始めたいと思っている人や、勉強のモチベーションを保ちたい人、中国語学習の王道を知りたいと思っている人に役に立つ内容だと思います。すでに自分のやるべきことがはっきりとわかっている人や、すでに上級をレベルに達している人にとってはあまり参考にはならないかもしれないことを先に申し上げておきます。

また、この本を読むだけで中国語ができるようになる、といった類の本でもありません。この本を参考にして、中国語学習には何が必要なのかを知ることができる内容になっています。

語学学習には検定合格を目標にする

本のタイトルからも分かるように、この本の筆者の三宅氏は「中国語を効率的に学習するには検定合格を目標に設定する」ことを強く勧めています。そして、私も自身の経験から、全くその通りだと思っています。

ここからは私の英語学習の経験話になるのですが、私は学生時代、1年間英語圏に留学をしました。しかし、台湾で英語が活かせる職に就くことができたのは、1年間の留学があったからというよりも、帰国して数年後に受験した英検準1級の準備期間があったからだと思っています。

私の場合は、「英検に合格する」だけではなく「1次の正答率9割以上、2次試験は満点で準1級に合格して、1級受験の基盤を作る」という明確な目標を立てて勉強していたので、試験までに何をすればいいのかを自分で導き出し、学習を進めることができました。

ちなみに私が検定合格のためにやっていたことはこちら。

・キクタンを丸暗記する
・英字新聞の要約と意見を書く
・オンライン英会話で週1のレッスンを受ける
・過去問を解き、リスニング問題はシャドーイング

結果は・・・合格はしたけど、1次正答率87%くらい、2次では1点落として満点ならず。


・・・課程が大事なのよ





もちろん「検定合格」はあくまで基礎力を上げるための目標であり、「最終目標」ではありません。

ですが、検定受験に向けて単語を計画通りに暗記したり、ジャパンタイムズの英字新聞を定期的に精読して要約したりしたことが私の英語力を底上げしてくれたことは確かです。

「英語ができるようになりたい」といったような漠然な目標だったら、きっとそこまで本気を出して単語を覚えようとは思わなかったはずですし、「1級受験のための基盤づくり」という目的がなければ英字新聞の要約と意見文なんて面倒なこともやらなかったと思います。

検定受験は学習においての通過点です。

著者も「この本の目的は検定受験をうまく利用し、最短で実践的な中国語力を養成することである」とはっきり述べています。

検定に向けて基礎を固め、検定に合格した後はそれぞれの目的・目標に向かって学習を続けていけばいいと思います。

では中国語の検定に合格するためには、どのようなことをすればいいのでしょうか。

それを書いてくれているのが、この本に付録としてついている「三宅式最強の学習方ロードマップ」です。

最強の学習方ロードマップ

筆者のいう「実践的な中国語を養成する」ためには、具体的にどんな本を使って学習を進めていけばいいのか。

それは、著書に付録でついてくる「最強の学習方ロードマップ」に書いてあります。

中国語学習ロードマップ

詳しい情報は著作権の関係でお見せすることができないので、ぼかしを入れてあることをご了承ください。

このロードマップには、入門者から上級者が検定合格するためにどんな本を使えばいいのかが記されています。

ここで言う「入門者」とは、HSKの1〜3級、または中検の準4、4級を目指す人で、「上級者」とは、HSKの6級、または中検の準1級を目指す人のことを言います。

それぞれのレベルの学習者が、「発音」「総合学習」「単語」「短文(文法)」「試験対策」の5項目でやるべきことが書かれていますので、自分のレベルを見て参考にすることができます。

個人的な考えとしては、筆者のおすすめする教材をそのまま使ってもいいし、それ以外のものでもいいと思います。日本の書店には中国語学習のためのテキストが数多く並んでいます。そのため、どのテキストを使うべきか悩むこともかるかもしれません。

これから中国語の勉強を始めようと考えていて、使用する教材をまだ特には決めていないという人は、とりあえずロードマップの通りに進んでみるといいのではないでしょうか。

ちなみに著者は、紹介した特定の本を使っての具体的な勉強方法については言及していませんので、別の教材を使用しても問題ありません。どの教材を使ってもできる勉強法になっています。

自分に合った教材を選んでみる

この本の中で、筆者はそれぞれのレベルにあった本を紹介してくれていますが、台湾で台湾華語を勉強している人には残念ながらあまり合わないかもしれません。

そこで、ロードマップを参考に、代わりとなる台湾華語教材を選んでみました。目指す検定もTOCFLに変更して考えてみました。

発音

「中国語の発音には約400通りの音がある」

まずは発音ですが、筆者は「発音の練習だけで2ヶ月間必要だ」と言っています。中国語の発音はとても難しく、少し発音や声調を間違えてしまうと、日本語や英語のように「訛り」で片付けられないほど通じないことが多々あります。ですから中国語の発音は何よりも先にマスターしておかなければいけません。

中国の発音と台湾の発音は、単語単位で考えると全く同じとは言えないものの、1つひとつの音で言えば同じです。

ですから、発音の練習に関しては、日本で売られている本で大丈夫です。発音の本から単語を覚えようとはせずに、単純に音だけに注目して練習すると良いと思います。

また、これは私の個人的な考えですが、やはり中国語の発音は本場の中国のきれいな発音から学んだ方がいいと思います。普通話の標準発音を習得した後で、台湾風の発音に直すのはあまり難しくありませんが、逆は少し大変です。

教材は筆者が紹介している本でもいいですし、今はYouTubeで無料動画もありますから、わかりやすいと思ったもので練習するといいと思います。

総合学習

筆者がいう「総合学習」とは、「読む・聞く・話す・書く」の総合力を身につけるということです。

その総合力を身につけるために筆者が推奨しているのが「シャドーイング練習」です。シャドーイングは、音声が耳に入った瞬間から声に出して音声についていくという練習方法で、「聞く」と「話す」が同時に鍛えられます。

シャドーイングは書店に並んでいるシャドーイングのための教材を選んでもいいと思いますし、もしいつも使っている単語本に例文の読み上げまでついているのなら、シャドーイングしながら単語も覚えられて一石二鳥です。

私がおすすめする台湾華語のシャドーイング教材は『實用視聽華語』『當代中文課程』『時代華語』といった、台湾で中国語を勉強している留学生が使うテキストです。

これらはシャドーイングに特化した教材ではありませんが、新しい単語には必ず例文がついていますから、それをシャドーイングするといいと思います。

例文だけでは短くて物足りないという人は、それぞれの課についている短文(1ページくらいの短い文章)のシャドーイングをおすすめします。内容を覚えてしまうぐらいシャドーイングができるようになったら、それを文字にして書き出すディクテーションをしてみるのもいいかもしれません。そうすることによって「書く」も鍛えられます。

私のディクテーションノート。ディクテーションの仕方については別記事にて紹介する予定です。

単語

台湾華語の単語本は限られていますが、私がおすすめするのは『キクタン』シリーズと『台湾華語単語』シリーズです。

ネタバレになってしまいますが、ロードマップで紹介されている単語本の中の1冊もキクタンです。

「キクタン」は軽快なBGMとチャンツに合わせてリズムよく練習できるところが人気の秘密です。私もキクタンは英語学習だけでなく中国語(中級編と上級編)でも愛用しています。

ただし、キクタン中国語は台湾華語ではなく、いわゆる普通話の単語本です。台湾華語とは違う発音・違う声調の単語もいくつかありますので、使用には注意が必要です。

もう1つのおすすめは『台湾華語単語』シリーズです。台湾華語の単語本を長く待ち望んでいたので、この本を書店で発見したときはとても嬉しかったです!

この台湾華語単語シリーズは、今のところ3冊出版されていて、この3冊でTOCFLのバンドB2までカバーできる内容となっています。ちなみにTOCFLのバンドB2はHSKの6級と同じくらいのレベルです。

短文(文法)

筆者は本の中で、「文法は短文から構文として覚える」「例文を通して単語を覚えれば、文法も自然に覚える」と言っています。

確かに中国語は日本語にあるような用言(動詞、形容詞、形容動詞)の活用もないし、少し乱暴な言い方をすれば、単純に単語を並べればいいだけなので、「そのうち自然に覚える」という言い方ができなくもないです。

文法に関しては、留学生が現地で使うテキストを初級からコツコツとやっていけば、それこそ「自然に覚える」ことができると思います。日本語の説明がなくても、おそらく大丈夫でしょう。

台湾華語の日本語説明がある教材というのはいうのは見たことがないのですが、どうしても日本語の説明がほしい場合は、日本の書店に並んでいる簡体字の中国語文法書を購入するという妥協も必要かもしれません。

例えば『完全マスター 中国語の文法』という本は、なんと400ページを超えるボリュームの文法書です。中国語検定2級レベルまでの文法項目に対応しているということなので、入門者から中級者までのハンドブックとしておすすめです。

中国語文法

例文を見ても微妙な違いがわからないといった時も、日本語の説明を見ればしっかりと理解できると思います。

また、各章には練習問題もついていますので、自分の文法の理解度をチェックすることができます。


中国語文法


「やはり簡体字で読むのは大変だ」という方は、台湾で使われている中国語のテキストに日本語訳と文法説明をつけて公開しているブログがありますので、そちらを参考にしてみるのもいいでしょう。


試験対策

HSKや中検は普通話の試験なので、台湾華語学習者はTOCFLの受験を目標にするといいでしょう。ただしTOCFL対策の教材は極端に少なく、私の知る限りでは公式問題集と公式サイトで公開されているの模擬試験だけです。

公式以外では、今まで私が使ったことのある『當代中文課程5』や『時代中文4』には別冊の練習問題集に読解・聴解問題もついていたので、TOCFLの試験と近い形の問題を解く練習はできます。

TOCFL公式問題集は近いうちに購入してみたいと思っています。受験する予定はありませんが、問題集で高得点を取れるようになることを目標に頑張ってみます。リスニングでシャドーイングやディクテーションもやってみたいので、バンドBくらいからやってみます。

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大喬(ダーチャオ)です。 台湾に来て20年。台湾人の夫、娘と3人で暮らしています。

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